第3話
「あの、それは一体どういうことでしょう?」
踊り子が困ったように聞きます。
「結婚前提にとまではいかないけどね、詳しい話は後で話すよ。マスター、呼んでくれる?」
踊り子は少しその場で考えましたが、すぐにマスターをつれてきました。
「何かしましたか?」
マスターは踊り子が何か失敗をしたと思い込んでいる様子でした。しかし王子はにこりと微笑みマスターに聞きました。
「この娘はいくらするんだ?」
「え?」
「俺の側で仕わせたい。この娘はいくらで買い取った?」
「95・・・いや、100リルです。」
「では300リル出そう。俺に買い取らせてもらえないか?」
「さ、300?わ、わかりました。メリー、準備しなさい。」
メリーと呼ばれた踊り子は怪訝そうな顔で奥へと下がっていきました。
王子は300リルをマスターに渡すと、グラスのお酒を一口飲みました。
「そろそろ俺にも教えてくれてもいいでしょ?どういう計画なんです?」
「最終的には・・・っていうのはまだ決まっていない。が、とりあえずは村おこしからだ。サザルヴィエント王国とメダヒェル王国の国境がどうなっているか覚えているか?」
「どちらとも山林に囲まれたのどかな国。国境はあまり定かではなかったような・・・。」
「相国の一番近い民家へ辿り着くまでに軽く十日はかかる。この間に行き交う人のための宿を作る。そこが俺達の出発点だ。」
「どうやって?」
「両国に商談しに行くのさ。悪い話ではない。両国が両国、相手がそのことをやってくれないか待っている状態にある。」
そう話しているとマスターが2人を呼びました。メリーの支度が出来たのです。
2人は席を立ち、店から出ました。
メリーは少し困った顔でタガットを見つめています。
「大丈夫。少し大変になるだろうけど、幸せにするから。」
「いきなりプロポーズかよ!」
と、バンジの突っ込みが入ります。そこでメリーは少し笑いました。2人が安心するとそこへ弟のラガットがやってきました。兵士を数人連れています。
「兄さん、僕、行くよ。」
「ああ、気をつけてな。」