第2話


「王子ぃ。本当に趣味じゃないんでしょうね。」

 と、バンジが不服そうな顔。王子はまっすぐある方向を真剣に見ています。

「いや、マジで、男手も必要だが、女も必要だ。そこそこぽっちゃり系がいいな。」

 今いるところは仕事を終え、酒と女に癒されたい男がやってくる酒場。辺りは暗くなり、ライトを浴びた踊り子たちが色っぽく踊っています。

いつもの王子だったらにやにやいやらしく笑っているのですが、本当に今日は何か違うようです。

バンジはハラハラしながら王子を見ていました。

 踊りが終わり、踊り子たちは酒を持って各テーブルを回ります。王子のところに、まずスラリと細身の踊り子がやってきました。とても美しい顔です。

「いらっしゃい。あらぁ、どこかのお偉いさんね。」

 踊り子は言います。すると王子が答えます。

「大したもんじゃないよ。いい踊りしてるな。」

「惚れちゃだめよン。」

「へへ、あんたは美人だしスタイルもいいけど、俺はもう少しぽっちゃりしてるほうが好きなんだ。」

「あら、若いくせにいやらしいわね。」

「そりゃあ、健康男児だからな。」

 と、手をわきわき。少しじゃれあうと踊り子は次のテーブルへ移っていきました。

「何してるんです?王子。」

「連れてく女捜してるんだよ。お前も一人探しとけよ。まあ、無理にとは言わないけどな。別の町で探してもいいわけだし。」

「はあ?何を言って・・・。」

 バンジが更に聞こうとすると、また一人の踊り子がやってきました。

「い、いらっしゃいませ。一杯いかがですか?」

 2人は彼女を見上げました。きれいな栗色でウェーブのかかった髪、少し、というより結構ぽっちゃりとした体、白い肌、

無垢な顔、王子はピンときました。

「かわいいな、あんた。」

「え?あ、ありがとうございます。どちらからおいでになってんですか?」

「なに、近いところだよ。」

 王子の口調がとても優しくなりました。

「お、王子。まさか・・・。」

「とりあえず・・・あんた、欲しいんだけど。」

「・・・え?」


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